人を説得するには感情だけではダメだという話

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ニュースを見ていて『スウェーデンのゆたぽん』というワードが目に飛び込んできました。
調べてみると自然環境について過激派なスウェーデンの少女みたいですね。
 

彼女について要点を掻い摘んでみると

  • 両親から環境問題について聞かされてきた
  • 温暖化について考えていたら鬱になった
  • 学校を休んでまで環境改善のストを行っている

という、『正義マンさん今日もご苦労様です』という感想しか出てこない人物でした。
 

まぁ、そんなどうでもいいことを書きたかったのではなく『人を説得する方法』について学んだ話を書きたいと思い立ちました。
私のブログを読んでいる方なら知っているKマネージャーから教わったことです。
今回はそのノウハウを皆さんにも伝授したいと思います。
 
 

人を動かすには感情で訴えることが手っ取り早い

Kマネージャーからティーチングとコーチングについて教わった時、コーチングに関しての注意点を話してもらいました。
それは『人が行動する土台には常に”感情”がある』というものです。
平たく言うと『人が意思決定する時は感情を優先する』のです。
 

ゆえに事実を突きつけたり合理的なことを述べるだけでは、相手を動かすことは難しいのです。
しかし、感情に訴えかける方法は人を簡単に動かせます。
その例は皆さんもご存知『アドルフ・ヒトラー』がやってましたよね。
 

彼は大衆の不満や怒りという感情をコントロールして人を動かしました。
民衆は彼の言うことに従いましたし、彼の言う通りにしていればいいんだと洗脳されていました。
感情的に動かされた人は自分で考えることができなくなりました
 

Kマネージャーが私に教えたかったことは『コーチングをする際、感情に訴えかける教育では主体的に考えられる人材は育たないよ』ということでした。
私が当時バイトしていたマックでの具体例をお話しましょう。
 

ある店長が『お客様を待たせることの気持ちを考えろ』という感情に訴える教育方針をしていました。
というのも、その店長は『遅い!』といわれたクレームを非常に気にするタイプだったのです。
『売上が下がっている=お客を待たせてしまっている』という方程式に惑わされていました。
 

そのため従業員へ”待たせること=悪”という感情的な訴えと教育をしていたのです。
割とその店長は話術が上手な方で、お客さんを待たせるのは確かにダメだなという考えを浸透させることに成功していました。
ある意味、思い通り従業員を動かしていたんですね。
 

で、従業員がとった行動はというと『過剰に商品をストックする』というものでした。
確かにこれならお客さんを待たせませんし、商品も注文後にすぐ提供できていました。
けれども売上には繋がりませんでした
 

なぜかというと『売れなかった商品=廃棄率』が上がっていたからです。
廃棄率が上がったことが売り上げの足を引っ張りました。
 

そうならないため『過剰ストックしたものを長時間保持=出来たてじゃないので美味しくない商品』を提供していました。
お客さんが不満になって客足が遠のき、結局、売り上げが上がることは無かったのです。
 

これが感情で動いた結果です。
論理的に考えたらとても単純ですし、少し考えればわかりそうなことだと思いませんか?
従業員もそうですが、店長も客の感情で安易に動かされてしまった結果がコレだったのです。
 

これ、本当の話ですからね。
私がいた頃の実例なんですよ。
私も感情で説得されて動いていた従業員の1人でしたから。
 
 

論理的なことだけでは人を説得出来ない理由

ならば順序立てて数字に基づき訴えるべきかというとそうじゃありません。
『人は理屈じゃ動かない』という言葉があるように、事実だけを突きつけていては思うように動いてくれないことの方が多いです。
以下の記事でも似たようなことを書きましたね。
 

 

古代ギリシアの哲学者『アリストテレス』の弁論術をご存知でしょうか。
その中に三種の説得手段というものがあります。

その三種とは

  • エトス(ethos) = 信頼
  • パトス(pathos) = 共感
  • ロゴス(logos) = 理論

の3つです。
 

これらは営業の世界だと基本となっているものなんです。
正したスーツで最初に「安心と信頼」を与え、親身になってお客様に「共感」します。
 

例えば商品の説明だけする人の物を買いたいと思いますか?
正しいことや真実だけを述べていても買ってくれるわけないじゃないですか。
『私は信頼できる人物ですよ』『あなたの気持ちがわかりますよ』というメッセージも伝わって、初めて理論(論理的な話)に耳を傾けてもらえるんです。
 

正論ばかり言う人が嫌われる理由は『理論と信頼しか揃ってないから』とも言えます。
『言いたいことはわかるが、お前の態度が気に入らない』という経験はありませんか?
これは感情の部分が欠けているから起こることなんですね。
 

逆に『信頼と共感の2つが揃えば大半の人の心は掴めてしまう』という事実もあります。
それを証明しているのが詐欺師という存在です。
彼らは言葉が巧みであることもそうですが、根本的にどうやったら人を説得できるかを知っているんです。
 

さも信頼できるかのような数字(とりあえず大きめの値)を使ったり、これを無視すると大変なことになりますよといった焦りや恐怖心を利用しているんです。
だから理論や論理的説明が皆無でも信じちゃうんです。
 

 

『論理的×感情的』のバランスこそ大事である

最終的にKマネージャーが教えてくれたことは

  • 人は感情に訴えると簡単に動いてくれるし、逆も然りである
  • なぜこうするのかという説明も織り交ぜなければ、部下は主体的に動くようにはならない
  • 感情だけで動かすようになっては良いトレーナーではないし、感情を蔑ろにしても良いトレーナーにはなれない

ということでした。
 

相手を説得し良い結果へ結びつけること、いわゆる『上手な説得』をするためには、論理的な部分も感情的な部分も両方大事なのです。
また、説得される側も感情だけに流されてはダメだということです。
 

感情だけで人を動かすことは出来るけど、感情だけで考え動くのも、動かされるのもマズいよということです。
まさにスウェーデンのゆたぽんがやっていることなんですね。
 

ファクトフルネス(FACT FULNESS)』という書籍があります。

 

本書の主題は『思い込みや常識に囚われないことの大切さ』を謳ったもです。
その中に、丁度スウェーデンのゆたぽんに聞かせたいような『論理的かつ感情的』バランスが取れた説得をしている例があったので、最後にこれを紹介します。
 

「中国やインド、そして他の新興国は、二酸化炭素の排出量を増やしています。このままいけば、地球温暖化に歯止めがかからなくなる。現時点で、中国はアメリカより排出量が多く、インドはドイツより排出量が多いのです」

2007年1月。ダボスで行われた世界経済フォーラムの、地球温暖化のパネルディスカッションにて、こんな発言が飛び出した。歯に衣着せぬ主張をしたのは、あるEU加盟国の環境相だった。落ち着いた声で語るさまは、あたかも一般常識を語っているかのようだった。
もし彼が、中国人とインド人のパネルリストの表情を見ていたら、自分がいかに非常識だったかに気づいていたかもしれない。
中国人のパネリストは顔をしかめていたが、まっすぐ前を見つめていた。一方、インド人のパネリストは、しびれを切らしてしまったようだ。順番なんて待っていられない。そう言わんばかりに彼は手を振った。

(中略)

「世界を危機的状況に陥らせたのは、高所得国のみなさん、あなたがたです。あなたがたは100年以上にわたって、どんどん石炭を燃やし、湯水のごとく石油を使ってきた。あなたがたのほかに、地球温暖化の引き金を引いた人がいるとでも思いですか?」

そう言い切ったあと、彼は急に態度を変えた。インド式の挨拶をするかのごとく、手のひらを合わせ、深々と頭を下げた。そして、小さく優しい声でこう言った。
しかし、今回は許して差し上げましょう。あなたは自分が何を言っているか、きちんとりかいしていなかったのだから。気づかずに犯してしまった過ちについて、後からどうこう言うのは、わたしもいい気はしませんな」

そして彼は、いよいよスピーチの大詰めに入った。背筋を伸ばし、ぴんと立てた人差し指をゆっくり動かしながら、まるで裁判官が判決を下すかのようにこう言った。

「しかしこれからは、ひとりあたりの二酸化炭素排出量について、語り合うことにしましょうぞ」

HaLucina

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