イソップ童話「酸っぱいぶどう」から学ぶメンタル術
失敗から立ち直る為のメンタル術としてイソップ童話「酸っぱいぶどう」というものがあります。
自分が何か上手く行かない状況に陥ってしまった際に「酸っぱいぶどう」を活かせるとメンタルが楽になる方法を書かせて頂きます。
目次
「酸っぱいぶどう」あらすじ
ご存じない方は動画を用意してあるのでどうぞ。
そんな時間無いって人の為に文字だけで要点をまとめると
- 狐が腹を空かせて歩いていると、ぶどうが成っている木を見つけました。
- 食べたいので採ろうとしたが、ジャンプしても石積み上げても採ることが出来ませんでした
- 最後に狐は「あのぶどうは甘くない。きっと酸っぱくて不味いはずだ。」と言って諦めましたとさ。
というお話です。
この話から得られる教訓
「自分の能力や地位に見合わない物を得ようとして得られない時、人はその物の価値を貶めて心の平安を図ろうとする。」 という教訓として有名な話です。
海外では「Sour Grapes」という慣用句として使われており、意味は「負け惜しみ」です。
実は酸っぱいぶどうの教訓は本当なのか研究し発表した論文があります。
心理学において、このような現象は「認知的不協和」という概念で説明されてきました。自分の過去の行動と自分の好みが一貫していない場合に、「認知的不協和」という不快な感情状態が引き起こされ、それを低減するために自分の好みを変化させると考えられています)。つまり、「好きだから買う」や「嫌いだから買わない」ではなく、「買ったから好き」や「買わなかったから嫌い」というようなことが起こり得ることを示しています。しかし、これまでの心理学の研究においては、好みの変化は質問紙などの自己報告法に基づくものであり、自分の過去の行動が本当に好みに影響しているのか、それともそう思い込もうとして嫌いだと報告しているだけで、実際の好みは実は変化していないのかはわかっていませんでした。また、「好きなものを選ぶ」のような価値に基づく意思決定過程の研究は多くなされている一方で、「選んだから好き」というような過去の行動の好みへの影響の脳内メカニズムはほとんどわかっていませんでした。
(中略)
この研究は、過去に自分のとった行動が実際の好みに影響を与えることを明らかにすると同時に、帯状回前部や前頭前野背外側部という脳部位が、この認知的不協和による好みの変化に重要な役割を果たしていることを明らかにした。この成果は、人の好みの変化や、それに基づく購買行動が複雑である理由の一端を解明し、個人の経済行動と社会の経済変動との整合性の理解につながると期待される。
悪い使い方
「認知的不協和」は恋愛関連でよく目にする心理用語です。
恋愛における悪い使い方といえば、例えば失恋した際「あんな奴、別れて正解だった」と自分の自尊心に対する事故防衛が働き、好きだった人を憎む対象にすり替えるとか。
他にも、タバコが嫌いだけど好きな相手が吸っているという矛盾を解消する為、タバコも好意的に受け取ってしまうという心理があります。この矛盾を解消したいという正体も「認知的不協和」です。
あるいは勉強することに苦手意識を持ち続けた結果、頭の悪い自分を認めたくなくて見栄を張り、勉強や知識に価値が無い否定する事なんかもそうです。こういう人は最終的に他人の勉強を邪魔するようになったりします。
良い使い方
悪い使い方の共通点は「矛盾と向き合わず都合の良い方向に考えてしまう」ことです。ですが見方を変えれば良い使い方もできます。
また失恋を例えにするならば「別れて正解だった」までは自己防衛の都合上仕方がありませんが、その後、自分が失恋したことに関して俯瞰的に見るとこまで繋げるのが良い使い方です。
「もし付き合ったとしても趣味が全然合わない部分があった」とか「自分の性格も直していなかったら近いうち衝突していただろう」など、相手を嫌う気持ちもある反面自分が反省すべき点にも振り返ることが出来ます。
出来なかった時の考え方を自分の次の成長に活かす場合に限って、酸っぱいぶどう状態になるのも有効なのです。
結果的に過去を引きずった時よりも早く前向きになることができます。人生や残りの時間を次のステップへ進ませる原動力となれたなら理想的な酸っぱいぶどうと言えるでしょう。
酸っぱい葡萄の心理になることは仕方がないことです。大事なのは「自分にとっての酸っぱいぶどう」をどう捉えて前に進むかなんです。