『モラル』と『モラール』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

似たような感じですが意味が全然違います。

この2つの言葉の違いについての話、私がアルバイト時代に教えて頂いた知識の1つです。

 

『モラル』とは 道徳、英語では『moral』と綴ります。

モラルとは、倫理観や道徳意識のこと。世代や状況によって徐々に変化するマナーよりも普遍的な価値観を含んでいる。

引用:https://kotobank.jp/word/%E3%83%A2%E3%83%A9%E3%83%AB-179321

 

『モラール』とは 士気、英語では『morale』と綴ります。

集団を構成する成員たちの多くが,その集団に対する信頼,集団内での自分の役割についての自信,集団目標に対する熱意,集団への忠誠心などをもっているような集団内の心理的状態。本来,軍隊用語では士気という。

引用:https://kotobank.jp/word/%E3%83%A2%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AB-142810

 

英語の綴りだと"e"があるか無いか、日本語だと伸ばし棒が付くかどうかの些細な違いですが、単純な単語であるこの2つには大きな違いがあります。

そして、上司など人の上に立つ存在は違いを知るべき言葉であると思います。

 

モラルとは?

引用先の説明通りモラルとは道徳・倫理を意味します。

当時の私が会社に勤めていた頃の上役達、特に古い世代の人たちがよく使っていた記憶があります。

 

うちの従業員はモラルが足りない

 

しかし、彼らが言うモラルの意味は道徳などのことではありませんでした。

もっと人のために働け』という意味で使われていた。

このもっと人のために働け』をひも解くと『残業してでも仕事熱心であることをアピールすべきだ』と、時代錯誤な意味合いを含んでいたんです。

 

いわゆるブラック企業が好きな言葉の1つですね。

特に飲食店やアパレルでよく見る “お客様のために~” や “感謝を第一に~” なんて唱えてる会社が、この意味でモラルを使う傾向が見られます。

皮肉なことに、その言葉を使ってる上役達がモラルを欠く行動を取ってると知らずに……。

 

例えば、『お前は使えない』『役立たずの給料泥棒』などの精神的暴力を指します。

これをモラルハラスメントと言います。

 

 

モラールとは?

対してモラールとは、日本語で士気という言葉と同義です。

そして本来、上役が意識すべきはこちらの言葉なんです。

 

士気というのは集団のやる気を指します。

学校であれば運動会や部活動で、何か仲間と共通の目標へ目指したことはあると思います。

その時にチーム一丸となってそれを達成しようとした時の力強さは凄まじいです。

 

誰しも1度は経験したことがあると思いますが、なかなかそういう機会に恵まれなかったという方もいると思います。

士気の凄さがいまいちわからないという方は『キングダム』という漫画をお勧めします。

 

閑話休題、それでは士気、つまりモラールを引き出すのは誰か?

これは紛れもなくリーダーシップのある人が取るべき行動なんですね。

もっというと、有能な上司ほどモラールの大事さを知っています。

 

成功している企業の特徴は『サービスを提供する側の士気を高く保てている』からです。

部下に仕事のやりがいを感じさせる能力、いわゆるリーダーシップが高いければモラールも比例します。

だから有能な人はモラールを大事にするのです。

 

最近ではモチベーションの方が重視されている

しかし、現代ではチームで働くというよりもフリーランスなど個人単位で働くことが増えてきました。

そのため、集団の意識を上げる意味のモラールより、個人の意識を上げる『モチベーション』という言葉が最近注目されてます。

モチベーションとは個人のやる気のことを指して言います。

モチベーションとは、人が行動を起こすときの原因、すなわち動機を意味する。組織の中では仕事への意欲を指し、意欲を持つことや引きだすことを動機づけと呼んでいる。 モチベーションが、個々人の意識に関する概念であるのに対し、モラールとは集団的な感情や意識に対して使われる概念といえる。

引用:https://kotobank.jp/word/%E3%83%A2%E3%83%81%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-179319

 

悲しいかな……ここで無能な上司がモチベーションという言葉を知ったらこう使う場合があるのです。

 

『うちの従業員はモチベーションが足りない』

 

最初ら辺の話にもどってしまいましたね。

そもそもモチベーションというものは、それを上げるための動機が必要なんです。

つまりモチベーションは、他人から上げろ言われて上がるものではなく、何かしら上がる仕組みやきっかけが必要なものなんです。

さて、結局何が言いたいかと言うと『リーダーの役割を持つ人は、個人のやる気を当てにしてるうちは無能』だということです。

こいつは使えないと言っているようなチームリーダーは『私は仲間を奮い立たせるようなカリスマを持っていません』と公言していることと同じなんです。

昨今ではモチベーションが注目されていますが、個人とはいえ何かしらのチームに加わる時、大事なのは『モラール』だと私は思うんですけどね。

なので機会があれば上司の方に『モラルとモラールの違いって知ってますか』と尋ねてみてください。

答えられる人は信頼して良い上司であると言えるでしょう。