テイルズオブファンタジアというゲームの冒頭で『この世に悪があるとすれば、それは人の心だ』というセリフがあります。

私の人生の教訓、そして好きな言葉の1つです。

これは個人的解釈なのですが、現代で言う『悪』=『歪んだ正義』だと思うんです。

 

簡単な例で言えば、マスコミの報道を鵜呑みにする人、少しでも自分の中の常識と合わない他人へ攻撃する人、ソースの無い情報に一方的な思い込みを上乗せして活動する人なんかが『』だと思うんですよ。

特にそれが際立っているなぁと思った出来事が、ボランティアの尾畠さんが子供を救出したニュースあるじゃないですか。

当時流れていたニュースのコメント欄やTwitterの感想なんかを見ていたのですが、これが酷い酷い。

どうでもいい話、憶測、推論、挙句の果てにはコイツが誘拐犯じゃないかなどなど……。

事件の当事者や関係者ならともかくテレビやネットにいる外野達は、それを普通に一件落着の一言で済ませれないのかよって思うんですよね。

 

もうこれは『悪意のある正義感』じゃないかと私は考えてます。

自分はこんなにも他人を思ってるんだという大きなお世話が、純粋な悪よりもたちが悪いと思えてくる出来事でした。

それでなんとなく先ほどのゲームのセリフが思い浮かんだんですよね。

 

 

自称ネット警察は何で存在するのか

『歪んだ正義』の代名詞と言えば『自称ネット警察』を私は思い浮かべます。

先で挙げたニュースの他に、芸能人の不倫やTwitterでの不祥事自慢(いわゆるバカッター)に飛びついては再起不能になるまで叩き続ける人をよく見かけます。

私はこの人たちの正体について考えたことがありました。

というのも、良し悪しは別として気持ちは分からなくもない……という考えが私にあるんです。

本当にただの推測なのですが、こういう歪んだ正義をネットでやっている人たちは『学校などでは真面目で優しい人間だった』と思うんです。

で、その人たちの特徴というは

 

・授業中は静かにしていた

・先生の言うことに従順だった

・決められたルールを守ることができるタイプだった

・他人に迷惑をかけないよう気を使えるタイプだった

・遅刻をしないなど時間や約束を守れるタイプだった

・掃除などの集団生活の当番や役割を真面目にこなす性格だった

・面と向かって他人に悪口を言う度胸は無い

 

という人間性の人達じゃないかと思うんです。

正直これらの項目は自分がよく当て嵌っているんですよね。

 

問題はこういう人たち、学校のカースト下層に多いと思うんです。

半分偏見もあることをわかっている上で話しますが、カースト上位にいる人は、上で挙げたことを平気で破っていますよね。

授業は騒がしい、先生に逆らう、ルールは守らない、他人に迷惑はかける、遅刻は当たり前、掃除はやる奴に任せてすっぽかし、下層カーストは見下しているのでいくらでも酷いことを言える……などなど。

個人的に大嫌いな人種なのですが尊敬している面もあります。

彼らの秀でていることって『世渡り上手』な所だと思うんです。

 

例えば、ある先生の前では大変素行が良い、もしくは人懐っこいアピールをしていたなど。

今の私であればとても賢いことだと認められるのですが、普段から真面目にルールを守っている人からしたらたまったもんじゃないと思います。

なぜなら、こっちは毎日ルールを守り、他人に迷惑をかけないよう行動し、真面目に生活をしている立場のはずなんです。

なのに、おいしいことや楽しいことは全部そいつらが持っていく。

しかも、何のお咎めも制裁も無い。

 

学生の頃に私が陥ったことで『世の中、真面目な人ほど馬鹿を見る』と悔しくなりました。

で、先生に抗議をするじゃないですか。

毎回アイツらは当番などをさぼっている、こっちは真面目にやっているのに理不尽じゃないかと。

ある程度は先生も注意を促してくれるでしょうが、残念ながら効果なんてあるわけないんですよね。

何も解決しないまま、こういう人たちは泣き寝入りするしかなかったんだと思います。

 

 

ネットとSNSで同志達と独自に制裁できる時代

時は流れて現代はSNSが普及、学生さんたちの必須スキルと言っても過言ではないでしょう。

カースト上位の人達は、生き生きと楽しかったことやヤンチャな行いをしたことを自慢するために使っているように見受けられます。

 

さて、真面目な人達はそれを見てどう思うでしょうか。

恐らく大変憎い目で見ていると思います。

次に、こんな悪いことをしている奴がいると画像や動画をあげて拡散します。

すると、同調した人たちが加わって炎上していきます。

炎上した人は住所などを特定される、場合によってはリアルでも被害を受けたのではないでしょうか。

最悪の場合、炎上者の行いが認知されて警察に逮捕される人も現れるでしょう。

 

その時に炎上させた側、ネット警察はこう思ってるんじゃないでしょうか。

やっとこういう奴らに復讐することができた』と。

以降、ネットを徘徊してルールからはみ出してる奴を見ては、それを繰り返して制裁をしていくというループになっているのではないかと。

これが『ネット警察の正体』=『歪んだ正義』だと私は考えています。

先生や周りの大人に頼ってできなかったことが、今じゃ周りの力と同調して自分の正義を執行できる。

良くも悪くも、ネットの力によって犯罪者をあぶり出せるから生まれてきてしまった人種だと思います。

 

 

本当の真面目で優しい人とは

念のため言いますが、私は彼らの気持ちは分かりますが加担したいとは一切思っていません。

ましてや、その行いを自ら行ったこともありません。

ただ、時代や出会った人に恵まれていなければ同じ人種になっていた可能性は十分あったと思っています。

 

実はそうならなかったきっかけというわけではないのですが、元キャバ嬢の知り合いが言っていたことに大変感銘を受けた話があります。

数年前、たまたま話をする機会に恵まれた時、私はこう口にしたことがあります。

 

真面目で優しい人って、大損するよね

 

ですが、彼女から帰ってきた言葉は予想と違う答えでした。

 

『私はそうは思わない。

損しているのは真面目と優しさを使う場面を間違えているからだと思う。

私に言い寄ってきた男の人は、自分の評価を上げるためマメにプレゼントを贈ってきた。

けど。こっちが都合の悪い返事をすると「あんなにやさしく律義にプレゼントしてやったのに」って被害者面をしてくる。

本当に真面目で優しかったのかな?って思う。

少なくとも私が会ってきた中で本当にそうだと思った人は、上っ面や評価を気にした人じゃなかった。』

 

 

この話を聞いてから、私は評価を気にしているから損をした気分になるんだと考えを改めています。

今の私が思う本当に真面目で優しい人は、自分や他人を評価するために行動しない人だと言いたいです。

まさに冒頭で述べたボランティアの尾畠さんがそうであると思います。