テレビを見なくなって数年経つ私なのですが 「しくじり先生」 という番組がとても好きで、唯一ネット配信でも見ている番組の1つです。

見ている理由は番組コンセプトそのものです。

「人生を盛大にしくじった人から『しくじりの回避法』を学ぼう!」を基本理念に、「しくじり先生」が自分と同じ失敗を他人が犯さないように「自分の言動の問題点と教訓」を番組オリジナルの教科書を使い、生徒役のゲストや視聴者に授業という形でエピソードや教訓を披露する番組である。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%98%E3%82%8A%E5%85%88%E7%94%9F_%E4%BF%BA%E3%81%BF%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%AA!!

大抵の人は自分の憧れの人やメンターに対し「成功の秘訣は何ですか?何が成功の切っ掛けですか?」と、成功談から何かを学ぼうとします。逆に私は 「どんな失敗をしましたか?やっておけばよかった後悔はありますか?」 と聞くようにしています。なぜなら 成功談よりも失敗談の方が参考になる と考えているからです。

というわけで、なぜ失敗談の方に価値があるかを自分なりに説明してみます。

目次

成功には「運」も絡んでおり再現性が低い

成功談よりも失敗談の方が参考になると考える最大の理由は 再現性 です。物事の成功は本人の努力や知恵の他に も絡んでます。なんか知らんけど成功したって経験は誰しもあるはずで、そうなると明確な成功理由は語りようがありません。

例えば誰も注目していなかった分野が何かのきっかけで注目されたりするじゃないですか。狙って流行を作り出した成功者なら話は別ですが、ただ流行に乗って成功した人の成功談を聞いて内容やコツが薄っぺらく感じる原因は運要素で成功しただけにすぎないからだと言えます。

強いて言えば、そうやって成功した人たちの主な成功要因は、先行者優位の環境だったり黎明期のうちに行動していたことが実を結んだと言えるでしょう。

松浦清という人物の 「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」 という名言をご存じでしょうか。

この言葉は阪神・楽天の監督だった野村克也さんの座右の銘としても有名でした。

 

《原文》

予曰く。勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。

問、 如何なれば不思議の勝ちと云う。

曰く、 遵道守術ときは其心必不勇と雖ども得勝。是心を顧みるときは則不思議とす。故に曰ふ。

又問、 如何なれば不思議の負けなしと云ふ。

曰、 背道違術、然るときは其負無疑、故に云爾客乃伏す。

 

《訳》

予が言った。「勝つときには不思議な勝ということがある。しかし負けるときには不思議な負けということはない」

客が問う。「なぜ、不思議な勝と言われるのでしょうか」

予が答える。「法則に従い、技術を守ってたたかえば、たとえ気力が充実しておらずとも勝利を得ることができる。このときの自分の心をふりかえれば、不思議と思わずにはいられないからである」

また問う。「では、なぜ不思議の負はないと言われるのでしょうか」

予はまた答えた。「法則を無視し、技術を誤れば、負けることに間違いない。それだからこのように言うのである」と。

客は平伏した。

 

引用:https://note.com/shinonomesousaku/n/n0f9718009a7a

行動力は確かに重要ですが同じことをしても全く同じ成果になるかは別で、そこに確実な再現性は無いはずです。要は 誰かが上手くいったことが自分でも同じように成功するとは限らない ということです。

対して失敗には必ず間違った方法や手順を踏んだという原因からその結果へと繋がります。予め失敗を回避する為の努力や知識は再現性も高く、少なくとも進む方向を間違えない指針になりますよね。

「上手くいかない方法」を知ることが出来る

先ほど述べた通り他人の成功は運も絡んでいることがあり、それを鵜呑みにして行動しても再現性が低いです。他人の失敗を知るというのは 「先人が辿った失敗を繰り返さない」ために役立つ 行為なわけです。まさしく「しくじり先生」のコンセプトですね。

例えば何かしらの開発や研究をする分野ではトライアンドエラーを繰り返していきます。何度も失敗して成功を見つける分野といっても、出来ないことがわかっているなら最初から回避しておきたいものです。

同じ道を歩もうとしている人からすると先人が紆余曲折した経験は非常に価値があります。 特に「すでに試していて出来なかった事」を知ることが出来れば徒労に終わることも無くなるでしょう。

それでも自分が失敗した場合、それは 「上手くいかない方法を1つ知った」 ということです。 ポジティブに言い換えれば 「成功に一歩近づいた」 と捉えてもいいでしょう。

これは トーマス・エジソン の名言にもなっています

I have not failed. I’ve just found 10,000 ways that won’t work.

私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、上手く行かない方法を見つけただけだ。

わたしは、決して失望などしない。どんな失敗も、新たな一歩となるからだ。

I am not discouraged, because every wrong attempt discarded is another step forward.手くいかないのは失敗ではない。上手くいかない方法を発見しただけだ エジソンの言葉

本気の失敗には価値がある

以上の考えから失敗談の方が成功談より役に立つと考えた理由です。成功している中には「あの時こうしておけば良かったという反省や後悔=失敗したなぁ」も失敗談の1つであり、より良い結果に導けるという点では、やはり成功談よりも失敗談の方が有用だと思うのです。

しかしながら、失敗は恥ずべき事という認識が強い世の中、自分の失敗談を表に出すことは非常に勇気のいる行動に違いありません。

漫画 「宇宙兄弟」 11巻 107話の 「本気の失敗」 というエピソードで主人公の南波六太が以下のセリフを言うシーンがあります。

本気でやった場合に限るよ 本気の失敗には価値がある

適当にやってみて失敗したという話は論外ですが、本気で挑戦した出来事に対する失敗は大いに参考になります。失敗談を話して案の定笑われることがあるかもしれませんが、自分が成功した時の笑い話のネタとなるのであれば悪くないですよね。